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黄昏な日々の日記・・・の予定
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◆魔術士オーフェン・無謀編(ss)◆




お金というものをかせぐには、それ相応の何かを支払わねばならない。それが何かは人それぞれであろう。


黒眼、黒髪、黒服の、この黒一色な若者にも避けて通る事が出来ない事実である。





とある昼さがりのテーブルでオーフェンはマジクに大陸の歴史について話をしていた。

一見すると目つきの悪いただのチンピラにしか見えないが、彼の首から胸元に下がっているのは一本足のドラゴンが剣にからみついている銀色の紋章である。

大陸黒魔術の最高峰《牙の塔》のペンダント。それは当人がただものではないことを示している証である



もっとも現在のモグリ氏には余り関係ないことであろうが・・・・・・

そもそも彼が魔術士らしく知識を分けてやろう、などというめずらしく生産的思考を働かせるのに理由がなければおかしい

なぜなら万年金欠魔術士のオーフェンには、肩書きよりも目の前の食生活の方がはるかに重要事項のはずなのだが・・

「おいマジク、早く終わってメシにしようぜ。俺、海老のドリアな♪」

「タダメシとなると遠慮ないですね・・・」



・・・・案の定、マジクの学校の宿題に必要という名分だが、単に昼食を奢ってもらおうという理由らしい。まぁ、割のいいアルバイトみたいなものであろう・・・・



とりあえず一段落した頃

「どうしたマジク。俺なんか変なこと言ったか?」

「いや、そのなんというか・・オーフェンさんてやっぱり魔術士なんだなぁと」

「・・どおいう意味だよ、そりゃあ・・」

「知識ですよ。とても魔術士っぽく見えますよ、ホントに」

マジクの毒舌にオーフェンはうめきながら、

「・・・ていうか俺、正真正銘、黒魔術士なんだが・・・」

「だっていつもあの地人達やキースさんを吹っ飛ばしたり、コンスタンスさん相手にダラダラしているだけじゃないですか。とてもその力を生かしてる様には見えないんですけど・・」

「それは誤解だぞ。借りている金を返さないあの福ダヌキ共をぶちのめすのはともかく、キースについて、俺は関わりたくて関わるわけじゃないんだ」

「ふ~ん、でも傍から見てると友達にしかみえませんけど・・」

「おいマジク、馬鹿なこと言うなよ。そういうこと言うと・・」

「はっはっは、さすが私たちの熱き友情はよく知れ渡っているようですな黒魔術士殿!」

「ほら、出てきたじゃねえか・・」

唐突に床穴から現れたキースとは、いつもタキシード姿で(今日はなぜか頭に黒い子うさぎを乗せている)みるからにアヤシサ大爆発な男なのである



めんどくさそうにオーフェンは、(・・・ちなみに穴はそのままである・・・)

「おいキース!、ひとぎぎの悪いこと言ってんじゃねぇぞコラ」

「これもひとえに私たちの努力の結晶というものかとw この気持ちを今夜から毎晩枕元でささやきたい気分であります」

「無視してんじゃねえ!ていうか、やったらマジに燃やすぞ!」

「そのような事より大事なお話があるのです、黒魔術士殿」

キースのからんでくるあたり、身の危険を察して部屋に戻りながらオーフェンは

「お前がそういうことを言う以上、ろくでもないか、どーしょうもないことに間違いないからイヤだ」

「実はですね」

「人の話を聞けよ!」

「よろしいのですか?お金儲けの話なのですけど」

「で、早く話せよキース」

電光石火でイスに座るオーフェンにあきれながら

「知りませんよ、また面倒なことになっても」

「おや、マジク殿も私たちのこの熱き友情同盟に加わりたいとおっしゃるのですね」

「さりげに僕まで巻き込まないでくださいよ」

「そこまで熱烈なお願いとあっては断る事など出来ません!」

「・・・僕だけでもこの町で真人間でいたいんですけど・・・」

必死に抵抗するのだが、当然この宿屋に居座る連中に通じるわけがない。横からオーフェンも、

「”毒を食らわば皿まで”ってな、マジク」

さっきまでの、ホントにわずかでささやかなオーフェンに対する尊敬の念などどこかに飛んでしまいつつ、

「全身毒だらけの人に言われても説得力ないですよ・・」

「いいから、とりあえず話だけでも聞いてみようぜ」

「はぁ、とりあえずうちとしては溜まっているツケさえ払ってくれれば別にいいんですけどね」

「まあそんな意味不明なことは捨てといて」

「トボケても無駄ですから、ちゃんと払ってくださいよ。でないとうちの宿屋潰れることになるじゃないですか」

「もともと潰れてるようなもんだけどな、ここ」

全く他人事のような黒ずくめの男をマジクは半眼でにらみながら、

「・・・誰のせいだと思ってるんです・・・」

「善良な一般市民の俺には関係ない話だな☆」

さりげに隣の変態執事も

「私のせいではないことは天地神明、故郷のうさぎ様にかけて誓いましょう☆」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ハァ」

-----------胸を張って堂々と言い放つこの2人に何を言っても無駄ということをあらためて悟り、マジクは厨房に入り自分達の昼食を作ることにした--------------





マジクの作った昼食のサンドイッチを三人で片づけながら”儲け話”とやらを聞いてみる事にした午後である。



---ちなみに一番安いメニューなのは言うまでもないのだが---



「で、キース、一体どんな儲け話なんだ」

チョコサンドをくわえながらオーフェンが聞いてみると

「その前に、どのような苦労、困難、無理難題でも突き進む覚悟がおありですかな?」

「・・・お前が言うと、まじにシャレにならないからなぁ・・・」

実際に今まで何度も死にかかっている経験上、なんとなくいやな予感が湧いてくる中、やはりというか心配性なマジクが横からつついてきた

「止めましょうよ~オーフェンさん、この人本気で聞いてますよ~」

「失敬ですなマジク殿。私はいつでもどこでも、たとえ我が主ボニー様が猛獣に襲われていようと、黒魔術士殿が飢えの余り犯罪チックな人生を過ごすのを見捨ててでも信念を貫き通す覚悟でございます!」

「訳分からんうえに、さりげにケンカ売る気かお前は・・」

「何か間違っておりますかな?」

犬歯をむき出して半眼になりながら脅すかのようにオーフェンは、

「・・・いざとなったらお前をオトリにして逃げるからな、キース・・・」

「はっはっはっ、人生というものは一連托生というものですぞ」

「つまり何が言いたい・・」

「・・・・・弱肉強食」(ぼそり)

「なるほどな。全て理解した。了解した。」

うんうんと、したり顔で頷きあうオーフェンとキースに、

「2人とも、そこでなんで僕を見るんですか!」

「・・・・・聞きたいかマジク・・まぁ無理にとはいわんが・・」

「生贄なんですか?オトリなんですか?・・・僕まだ死にたくないです・・」

本気で半泣きになるマジクを安心させるかのように

「俺だってまだ死にたくねぇよ。やらにゃあならん事だってあるからな」

(そのために俺はここに来たんだからなぁ)

ともすれば忘れそうになる目的を思い出しながら助け舟を出すが、当の少年は全然違う解釈をしたらしく、

「まさか、うちのツケを払うために・・・オーフェンさん!」

「・・・・・・なぁマジク、こんな言葉知ってるか?」

人生の先達者として間違いは速やかに正してやらねば、と思い少年に教訓を教えることにした。

「”人生はあざなえる縄のごとし”ってな」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」



------ジト眼で黙りこくってしまったマジクはとりあえずほっといて、頭上のうさぎに人参の皮を与えながら一諸に食べているキースに向かって、

「そもそもだ、なんで儲け話に命かけにゃならんのだ・・」

「命を懸けて小銭を稼ぐ・・・・意地汚い黒魔術士殿にはとってもお似合いの話だと思いますが」

「てめぇ・・やっぱりケンカ売ってんのか・・・」

「心外ですな、ここまであなたを理解しているのは世界広しといえども、私以外にいないと自負しております。黒魔術士殿!」

「知的外生命体のお前に理解されるのは人間として本気で断る!」

「まぁそのようなことはどうでもいいのですが。これを見て下さい」

オーフェンの罵声をさらりと聞き流したキースが差し出した(なぜか土気色の)チラシに書かれていたのは、



《大募集!今日からあなたも戦士です!~みんなでウサギ様を倒しに行きましょう~見事倒した方には一万ソケット差し上げます☆モグモゲラ村観光組合 刊》   
--追伸。旅費は当方一切関与しておりません。あしからず--


「うっわ・・・これってただの客寄せじゃないですか」
しごく妥当な意見であった。


しかし、


--------読み終えると無言で旅支度を整えた黒ずくめの男は、そのまま一人宿を出て行った。------



その後、トトカンタ付近の森の中で道に迷ったオーフェンが空腹のあまり野草を食べているのをコンスタンスとマジクに発見されたのは五日後のことである・・・



----結局、何度探してもやっぱりこのキースの故郷は地図上に存在しない村であった----





言い残すことはそれだけか!  ~おわり~


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