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黄昏な日々の日記・・・の予定
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◆魔術士オーフェン・プレオーフェン(SS)◆



キエサルヒマ大陸西部に位置する都市、タフレム

黒魔術士たちの約束された土地であり、完全に魔術士の自治にある都市

たとえ幾度となく戦火の渦の中で破壊されようと、その度に再建し復活していく逞しい場所

大陸東部にある王都、そしてトトカンタ以外で生まれ育った魔術士にとっては安住の地である第二の我が故郷




の、はずである・・・




今日もどこかで何かが壊れる音がする

いや正確には崩壊する騒音と言ったほうがあたっているかもしれない

「コンビネーション2-7-5!」



繊細な構成により、力のある声と共に発動する魔術

魔術とはそれを制することが当然のことであり、疑問にすること自体がありえない

もしそのことを不思議に思うものがいるとしたら、余程の熱心な学生か・・

「光よ!」



余程のヒマをもてあまして、後輩たちをオモチャにして遊んでいる天才しかいないかもしれない・・





いつもと同じ《牙の塔》、いつもの教室、いつもの生徒たち

そしていつもの見慣れた破壊の惨劇とその後片付け

いわゆる「始末書」というモノである

まあほとんど大抵は誰がどう見ても自業自得というものなのだが

「なんでわたしがこんなモノ書かないといけないの!納得できない!」

認めたくない人はいつの世にもいるものであろう

(コミクロンを半殺しにしておいて、自分は無傷なところがアザリーらしいといえばそうなんだろうなぁ)

「何か言いたいことでもあるの!?」

「いや別にないけどさ」

指をポキポキと鳴らしながらニッコリと笑う姉に慌てて答える弟、約一名

「あ~でも今回は少しやりすぎじゃないかな、食堂半壊させたんだから」

冷や汗を流しながらも、さりげなく意見してみるが

「だってしょうがないじゃない!今日のカレーにわたしの嫌いなグリーンピースが入っているわ、イールギッドのバカがケンカ売ってくるわ、変な黒っぽいものが足元をうろついているわで!」

弱冠言いがかりなところもありそうかと思うが、言わないほうがイイということは経験でわかるあたりが悲しい15歳。

(理由もすごいけど、毎回死人がでないのも別の意味ですごいかもね)

「おまけにそのその後のフォルテの苦虫をかみつぶしたみたいな顔ときたら・・ああっ~思い出したら腹が立ってきた~」

またまたぶっそう極まりない構成を編み始めた半ギレな姉を止めるには、

「次は始末書、何枚増えるのかなぁ」

ぼそっとつぶやいた伝家の宝刀一言で静止する姉、約一名

なにやら錯乱ぎみな姉であるがまだ一応理性は残っていたらしい

身の危険がある話はマズイと判断して話を変えて

「ところで、コミクロンを黒コゲにして、逆さ吊りにしたことに何か関係あるの?」

「気晴らし!また迷惑なモノ作っていたみたいだから、前もって一諸に燃やしといてあげたわ。あらあら~お礼の一言もいいたそうね、ちょっとでもわたしに感謝する気持ちがあるみたいだから、あんたも手伝いなさい!はい、これ!」

また理解不能な論理を展開して勝手に結論を下すが

「早く書き終えてくれないかアザリー、早く執行部に提出して帰りたい。私も大概ヒマではないのだが」

「うわっ、いつから教室にいたの、あんたは」

「フォルテ・・さっきからずっとここにいたんだけど」



教室最年長のリーダーだけあってさすがに冷静に顔色ひとつ変えないあたり、たいしたものであるが

「なんなら私が指導してやってもいいぞ、始末書の書き方が今よりはうまくなるだろう」

「・・・・・・・・・・もう少しまってちょうだい・・・・・・・・・・・・」



顔には出ないだけで意外と怒っていた

 

 

そんな2人の冷戦間にこっそり抜け出し向かう先は

「遅い!遅いぞ!この天才の見舞いにかくも遅れるとは言語道断!いつの日にかヘモグロビン君によって滅殺されるに違いないぞ!」

先程まで生死の境をさまよっていたのが嘘のような元気の前に

「もう1、2回ほど半殺しにしといたほうがいいのかなぁ~平和のためだから仕方ないよね、うん」

・・・10分後にミイラ(包帯でぐるぐる巻きの刑)男が完成した




「平和って、むなしいな・・こんな日常と早く縁を切りたい・・」

イスに腰掛け、コーヒーを飲みつつ思いっきり心の底から本心を言ったのだが

「うむ、奇遇だなキリランシェロ、実は俺もそう思っていたところなんだ。さっきも何か知らんが、あの天魔の魔女がこの天才に嫉妬していきなり暗殺まがいなことをしてきたのを見てそう思うだろう」

しみじみと語りだす級友に同情こそ全く起こらないが、ふと

「そういえば、今日もなんでまた爽快に吹っとばされるようなことをやったわけ?」

いつものくだらない(どうしようもない)理由と思いつつ聞いてみる

「それだ、それ、せっかくこの天才が腕によりをかけて作り上げた偉大な作品を妬まれたからに違いない」

「いや、冗談はおいといてホントにどうしたの?」

「むぅ~やはりあのミャーと鳴く黒い生命体のせいに違いない。どこからか知らないが迷い込んできたので、我が科学の英知のもとに改造してやろうとしたところ、いきなり逃げ出してな・・・しばらくしたらあの魔女がそいつを追いかけてきて・・・・どうしたキリランシェロ、いつもの不細工な顔が直せないほどに変形されてはさすがの俺にもどうしようも・・うぎゃあああっ!」



この日二度目の壊滅的な破壊が《塔》をゆるがした



-追伸-

ノーラは朝に帰ってきたが、最近アザリーの姿を見るとネズミをくわえて差し出すようになった

懐いているのか、怖がっているのかはいまひとつ微妙である



~ああ無情~ (おわり)


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