黄昏な日々の日記・・・の予定
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◆魔術士オーフェン・無謀編(ss)◆
「・・・おい、ここはいったいなんなんだ!?」
「・・・おい、ここはいったいなんなんだ!?」
キースお得意の”擬似空間転移”により連れて来られたこの場所は、
世間一般には”池”というものなのだが・・
・・ときおり、どこからともなく”シャー”だの”グエッ”だの不気味な声が聞こえるところである
キッパリと、怪しいなどというレベルではない
もっともアヤシサに関しては勝るとも劣らないどこぞのコウモリ執事はいつもと何ら変わることなく、
「はっはっはっ、これはまた異なコトを言われますな、黒魔術士殿は」
「・・しごく真面目に聞いたつもりだが・・俺としては」
”言い訳ぐらいは聞いてやろう”とオーフェンは片目を閉じるが、
「ふむ・・黒魔術士殿は凶暴な性格と凶悪な目つきだけでなく、頭もいささか悪くなられたようですな・・メモメモと」
-まあマトモな返事など返ってくるとは、ミジンコほどにも期待してなかったが-
「我は築く太陽の尖塔」
オーフェンの放った魔術が一筋の炎となりオールバックな髪型の若者を包み込む
(これなら、当分は静かになるな)
手近な石の上に座り、ゆっくりと大空を見上げて昼寝と決め込み・・たかったのだが・・
「いきなり何をなさるのです、あやうく死んでしまったらどうするつもりですか」
「チッ、もう復活しやがって」
相変らずの驚異的な回復力に内心舌を巻きつつ(感覚が存在しないのか、とも思うが)振り返ってみると、いつもと変わらないスーツ姿の銀髪執事の姿があった
こちらの心情など知る由も無く、ツカツカと正面まで来て、
「それは生死を共にと誓い合った無二の親友に対してのお言葉とは思えませんが!?」
「俺がいつお前とそんな約束をしたんだ!コラ!」
「いえ、まあ、ちょっとどこぞの占い屋の水晶球の中で」
と言いつつドギツイ色のガラス玉を手の中でこねくり回していた
いかにも聞いて欲しいと言いたげなその態度に
「やっぱり聞きたくねえからその先は言うな」
あさっての方向を向きながら言ってみるが、
「ちなみに今以上に不幸極まりない悲惨な未来が映し出されてました」
「やめろって言ってんだろうがっ!」
「では私の一存により”異世界”とやらでどうでしょうか」
「勝手に未来の占いの内容変えてんじゃねえ!!あんなわけわからんトコに二度と行く気はねえぇっ!!」
銀髪変態執事の胸倉をつかみながら、
(いかん・・このままでは、またいつもの”キース・ワールド”に突入してしまう・・どう始末してくれようこの野郎・・)
こちらのドス黒い感情などあっさり無視して、キースはノタノタ歩いているどこぞの亀の上に立ち、朗らかに
「まあ、そのようなことはどうでもよろしいので、目指せ大物!、といこうではありませんか」
ここに到る経緯はともかく、確かに池に来て何もせずにただ寝るのも問題あるかな・・と思い直す・・が・・
「大物ね~こんなところに、んなもんがいるとは思えんがねえ・・」
相変らず悲鳴も途絶えない上に、池の底からもボコボコと空気の固まりが(何故か)噴出している
周りを見渡しても釣り客など一人もいない
いや・・いたら、かえって怖いだろう・・
「いえいえ、私の推測によりますと」
「・・・で」
いつでもスタンバイOKな、こちらの凶悪魔術の構成に冷や汗を流しつつ、
「撒き餌次第ではないかと」
「お前にしてはまともな意見だな・・そうだな・・そうかもな・・」
無言のままに落ちていた(何故か)縄を握り締めて一人心地のまま行動を開始する
「・・なにゆえ私を縛っているのですか!?黒魔術士殿!?・・ま、まさかその様な趣味が・・申し訳ありませんが、私には婚約者のパオラがおりますので、ご期待かつ熱い思いには応えられそうにありませぬ!」
「アホか~!!俺にもそんな趣味はねえっ!!!てめえはオトリだ!餌だ!わかったかコラ!?」
ブルブルと震えてクネクネと妙なダンスをし始めるキースに思わず本音が出てしまうオーフェンであった
準備も終わり、さて、と釣竿を傍らに置いてふと静かに横たわるエサ(もといキース)を見ると・・一粒の涙がこぼれていた
「・・・お前にも人間らしい行動ができたんだな~知らなかったよ」
思っきり未知の生物を見るかのごときオーフェンの目線にも全く動じず、
「黒魔術士殿・・私も非常に残念で悲しいことなのですが・・」
「ん?何か言い残すコトでもあるのか・・ボニーのやつに伝言ぐらいならしてやらんこともないぞ」
「お達者で」
(あれ?)
気が付くとオーフェンのブーツには頑丈な麻縄が二重三重に括りつけられていた
「忍法縄抜けの術を、この前の”異世界”の中でマスターしましたもので」
いつの間にか縄から抜け出して立ち上がり、ハンカチなどを振りつつ目薬を持っている執事の姿
「-------------------!?」
「ああっ~親友の身を案じての行動とはいえ、自ら進んで撒き餌役を引き受けて頂けるとは・・このキース・ロイヤル!黒魔術士殿の名を一生をかけて語り継いでいきますぞ!」
両手を広げて無人のギャラリーに向かって宣言してから、せっせと帰り支度をすること数分、
「・・・まてやコラ・・・」
「む・・どこからか黒魔術士殿のお声が・・フッ、空耳ですな・・私とした事が懐かしさの余りとはいえ故人の幻聴などとは」
「安心しろ、残念ながら生きてるがな。あとヌシとやらには来て貰ったぞ。丁重にお願いしてな」
岸辺に仁王立ちしている目つきの悪い勇者がそこにいた
余程の命を懸けた大激戦だったのか、ドブネズミよろしくボロボロな姿である
みればオーフェンの脇にはナニやら変わった色と形をした未知なる巨大な魚らしき生き物が抱えられていた
--ちなみに人間の足が20本ほど生えているので、魚と呼んでいいものかどうか--
キースはそんな濡れ鼠なモグリ氏を見て、クルリと反転して一言、
「ふむ、コレこそまさに愛の力というものですな☆」
「・・・なら・・・愛と一緒に死んで来いぃ!!!」
オーフェンの大規模な破壊光線が池の水を一滴残さず消し去ってしまうのに、たいした時間もかからなかった
それから、この日以降、ここでの釣りは禁止になったそうである
ちなみに皮のジャケットの中に数匹の小魚が入っていたおかげで数日間飢えをしのげたのはキースにはヒミツである。
--結構味も悪くなかった--
~どーでもいいからあきらめろ!~(おわり)
世間一般には”池”というものなのだが・・
・・ときおり、どこからともなく”シャー”だの”グエッ”だの不気味な声が聞こえるところである
キッパリと、怪しいなどというレベルではない
もっともアヤシサに関しては勝るとも劣らないどこぞのコウモリ執事はいつもと何ら変わることなく、
「はっはっはっ、これはまた異なコトを言われますな、黒魔術士殿は」
「・・しごく真面目に聞いたつもりだが・・俺としては」
”言い訳ぐらいは聞いてやろう”とオーフェンは片目を閉じるが、
「ふむ・・黒魔術士殿は凶暴な性格と凶悪な目つきだけでなく、頭もいささか悪くなられたようですな・・メモメモと」
-まあマトモな返事など返ってくるとは、ミジンコほどにも期待してなかったが-
「我は築く太陽の尖塔」
オーフェンの放った魔術が一筋の炎となりオールバックな髪型の若者を包み込む
(これなら、当分は静かになるな)
手近な石の上に座り、ゆっくりと大空を見上げて昼寝と決め込み・・たかったのだが・・
「いきなり何をなさるのです、あやうく死んでしまったらどうするつもりですか」
「チッ、もう復活しやがって」
相変らずの驚異的な回復力に内心舌を巻きつつ(感覚が存在しないのか、とも思うが)振り返ってみると、いつもと変わらないスーツ姿の銀髪執事の姿があった
こちらの心情など知る由も無く、ツカツカと正面まで来て、
「それは生死を共にと誓い合った無二の親友に対してのお言葉とは思えませんが!?」
「俺がいつお前とそんな約束をしたんだ!コラ!」
「いえ、まあ、ちょっとどこぞの占い屋の水晶球の中で」
と言いつつドギツイ色のガラス玉を手の中でこねくり回していた
いかにも聞いて欲しいと言いたげなその態度に
「やっぱり聞きたくねえからその先は言うな」
あさっての方向を向きながら言ってみるが、
「ちなみに今以上に不幸極まりない悲惨な未来が映し出されてました」
「やめろって言ってんだろうがっ!」
「では私の一存により”異世界”とやらでどうでしょうか」
「勝手に未来の占いの内容変えてんじゃねえ!!あんなわけわからんトコに二度と行く気はねえぇっ!!」
銀髪変態執事の胸倉をつかみながら、
(いかん・・このままでは、またいつもの”キース・ワールド”に突入してしまう・・どう始末してくれようこの野郎・・)
こちらのドス黒い感情などあっさり無視して、キースはノタノタ歩いているどこぞの亀の上に立ち、朗らかに
「まあ、そのようなことはどうでもよろしいので、目指せ大物!、といこうではありませんか」
ここに到る経緯はともかく、確かに池に来て何もせずにただ寝るのも問題あるかな・・と思い直す・・が・・
「大物ね~こんなところに、んなもんがいるとは思えんがねえ・・」
相変らず悲鳴も途絶えない上に、池の底からもボコボコと空気の固まりが(何故か)噴出している
周りを見渡しても釣り客など一人もいない
いや・・いたら、かえって怖いだろう・・
「いえいえ、私の推測によりますと」
「・・・で」
いつでもスタンバイOKな、こちらの凶悪魔術の構成に冷や汗を流しつつ、
「撒き餌次第ではないかと」
「お前にしてはまともな意見だな・・そうだな・・そうかもな・・」
無言のままに落ちていた(何故か)縄を握り締めて一人心地のまま行動を開始する
「・・なにゆえ私を縛っているのですか!?黒魔術士殿!?・・ま、まさかその様な趣味が・・申し訳ありませんが、私には婚約者のパオラがおりますので、ご期待かつ熱い思いには応えられそうにありませぬ!」
「アホか~!!俺にもそんな趣味はねえっ!!!てめえはオトリだ!餌だ!わかったかコラ!?」
ブルブルと震えてクネクネと妙なダンスをし始めるキースに思わず本音が出てしまうオーフェンであった
準備も終わり、さて、と釣竿を傍らに置いてふと静かに横たわるエサ(もといキース)を見ると・・一粒の涙がこぼれていた
「・・・お前にも人間らしい行動ができたんだな~知らなかったよ」
思っきり未知の生物を見るかのごときオーフェンの目線にも全く動じず、
「黒魔術士殿・・私も非常に残念で悲しいことなのですが・・」
「ん?何か言い残すコトでもあるのか・・ボニーのやつに伝言ぐらいならしてやらんこともないぞ」
「お達者で」
(あれ?)
気が付くとオーフェンのブーツには頑丈な麻縄が二重三重に括りつけられていた
「忍法縄抜けの術を、この前の”異世界”の中でマスターしましたもので」
いつの間にか縄から抜け出して立ち上がり、ハンカチなどを振りつつ目薬を持っている執事の姿
「-------------------!?」
「ああっ~親友の身を案じての行動とはいえ、自ら進んで撒き餌役を引き受けて頂けるとは・・このキース・ロイヤル!黒魔術士殿の名を一生をかけて語り継いでいきますぞ!」
両手を広げて無人のギャラリーに向かって宣言してから、せっせと帰り支度をすること数分、
「・・・まてやコラ・・・」
「む・・どこからか黒魔術士殿のお声が・・フッ、空耳ですな・・私とした事が懐かしさの余りとはいえ故人の幻聴などとは」
「安心しろ、残念ながら生きてるがな。あとヌシとやらには来て貰ったぞ。丁重にお願いしてな」
岸辺に仁王立ちしている目つきの悪い勇者がそこにいた
余程の命を懸けた大激戦だったのか、ドブネズミよろしくボロボロな姿である
みればオーフェンの脇にはナニやら変わった色と形をした未知なる巨大な魚らしき生き物が抱えられていた
--ちなみに人間の足が20本ほど生えているので、魚と呼んでいいものかどうか--
キースはそんな濡れ鼠なモグリ氏を見て、クルリと反転して一言、
「ふむ、コレこそまさに愛の力というものですな☆」
「・・・なら・・・愛と一緒に死んで来いぃ!!!」
オーフェンの大規模な破壊光線が池の水を一滴残さず消し去ってしまうのに、たいした時間もかからなかった
それから、この日以降、ここでの釣りは禁止になったそうである
ちなみに皮のジャケットの中に数匹の小魚が入っていたおかげで数日間飢えをしのげたのはキースにはヒミツである。
--結構味も悪くなかった--
~どーでもいいからあきらめろ!~(おわり)
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